前回は、正解がますますわからなくなってきているご時世で、
言い換えれば、正解の可能性がさまざま広がっていく中で、
起業家精神がより一層重要になってくるという話題でした。
そこで取り上げたTV番組『特命! 池上ベンチャーズ』で、
キーワードの1つになっていたのが「Z世代」です。
この言葉はご存知の方も多いでしょう。
「おひとりさま」「草食系」などを広めたとされるトレンド評論家で、
『若者たちのニューノーマル』『恋愛しない若者たち
コンビニ化する性とコスパ化する結婚』などの著書もある、
マーケティング会社インフィニティ代表、牛窪恵さんによれば、
出演した『日経モーニングプラスFT』(2021.1.6放送)で、
Z世代の特徴を次のように分析しています。
【Z世代はリスクヘッジ志向】
◆Z世代(95~04年生まれ/16~25歳)
メディアとの関わり……動画・VR・SNSネイティブ
自己投資意欲……強
価値観……失敗に備えてリスクヘッジ(行動力あり)
ちなみに上の世代は、
◆ゆとり世代(88~94年生まれ/26~32歳)
メディアとの関わり……スマホ・画像・デジタルネイティブ
自己投資意欲……中
価値観……無駄なことはしたくない(コスパ志向)
◆草食系世代(81~87年生まれ/33~39歳)
メディアとの関わり……ガラケー・絵文字・ネットコミュニティ
自己投資意欲……弱
価値観……失敗したくない(節約志向)
とされています。
Z世代は、物心ついた時から、2001年には同時多発テロ、
2008年にはリーマンショック、2011年には東日本大震災に見舞われ、
大不況とか大災害はいつ起こるかわからないという認識があり、
それらに備えておこうというリスクヘッジがしみついています。。
【Z世代を読み解く3要素】
◆酔っぱらっていいことは1つもない
1997年と2017年の飲酒習慣率を比べると、男性で半減、女性では1/3程度。
Z世代は結果を考えて行動するので、酔っぱらったら周りに迷惑をかけるとか、
終電を逃すとか、次の日の仕事に差し障るとか、マイナス要因が多いなら、
最初から飲む必要はないと考えます。
◆親こそが最後の砦「親ラブ族」
離婚件数は、2000年代の頭に29万件とピークで、その後微減傾向ながら横ばい。
そうした環境下、親の仲を取り持ちたい、いい子でいたいという意識が強いです。
◆結婚披露宴をしない「ナシ婚」が5割
披露宴は「押しつけの茶番」と断じます。
そういうのにお金を使うぐらいなら、新婚旅行とか新生活にお金を回すのが得策。
ただ、家族のつながりは大事にしているので、
顔合わせで食事や写真撮影などはきちんとやります。
【Z世代の仕事観】
Z世代は、仕事と育児・家事といったプライベートの「二刀流」。
学生時代からキャリア教育を受けている人が多く、
育休が取れるような会社を好んで選び、
働く時間ではなく中身をはっきりさせてしっかり働く「ジョブ型雇用」志向。
その会社で一生働くことを否定はしない一方で、
転職しなければならないことになることも想定し、
それに備えるという考え方をするので、スキルを磨きたいという思いがあります。
逆に、プライベートを重視しないとか、
スキルアップの機会(副業など)を提供できない職場は敬遠されます。
【Z世代に選ばれるには「ぶれない」こと】
いわゆるバブル世代(1965~72年頃生まれ)に属する私ですけど、
個人的には「〇〇世代」という括り方は単眼的な見方に陥りがちで、
あまり好みではありません。ただそれでも、
生まれ育った時代の社会情勢や空気などの影響は当然ありますから、
個人差があるのは承知の上で、牛窪さんの指摘をとても興味深く受けとめました。
一言でいえば、ずいぶんしっかりしているという印象のZ世代。
そのZ世代に選ばれるためには何が必要か。
牛窪さんは、「ぶれない」ことが重要と言います。
Z世代は情報量が上の世代と比べるとはるかに多く、そんな中で、
信頼できるのは、ぶれないこととほぼイコールと考える人が多いというのです。
どこぞの誰かに聞かせてやりたい気持ちが抑えきれません(^^;
前回取り上げた『特命! 池上ベンチャーズ』の中で、
早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんが、
Z世代は、今のコロナもそうだけど、東日本大震災などの
大きな国難を若いうちに経験していることもあって、
デジタル技術を使いながら社会貢献型ビジネスをやることに
興味のある人が多い、と指摘していました。
不況免疫があり、リスクヘッジ志向、合理的、
自分の武器となるスキルの習得にも積極的で、
社会貢献への意識も高い……
かくも豊かな「レジリエンス」を備えたZ世代が担う未来は
明るくならないわけがないでしょう。
そうなると、Z世代にもってこいの強力な武器となり得る留学が、
にっくきコロナのせいで、ままならなくなっているのは、
返すがえすも残念でなりません。
コロナよ、もういい加減、はやくしずまれ!