その他

若いうちに人生を切り開く「起業家精神」を養おう

【11歳の小学生起業家】

コロナ禍で迎えた2度目のゴールデンウィーク。
世間に濃淡さまざま漂う閉塞感やイライラ感、
その裏返しのようにも見える反発的な解放感……、
まあとにかく異例の大型連休です。

期待のワクチン接種はなかなか進まず、
楽しみだったはずの五輪ももめにもめ、一部で、
コロナがもれなくついてくる「コロリンピック」と揶揄される始末。
気がふさぐ要因には事欠かないですけど、
今回取り上げたいのは、元気がもらえるような
若者によるベンチャーの話です。

30歳以下の起業家ばかり10人を(リモートで)集め、
3/7に放送された『特命! 池上ベンチャーズ』はとても刺激的で、
ちょっと大げさですが、決して世の中暗黒に向かってなどいない、
と思わせてくれました。

中でも、タイムリープの仁禮[にれい]彩香さん(23歳)は印象的でした。
タイムリープは、小学生から高校生までの子どもたちに、
オンラインで起業家教育プログラムを提供しています。

授業料は9カ月で27万8000円(税別)。
なかなかの負担ですが、今期は定員の3倍の応募があったそうです。

番組では、タイムリープで具体的にビジネスを立ち上げた例として、
鳩間みのんちゃん(11歳!)が紹介されていました。
海岸に流れ着いたガラスの欠片「シーグラス」を使ってアクセサリーをつくり、
売上の一部を環境団体に寄付するというビジネスです。
コンセプトは、「環境保全をファッショナブルにする」。
海をきれいにしながらファッションを楽しむというのですから、
よく考えているなあと、私なんか感服するしかありません。

みのんちゃん(ちゃん付けは失礼かとも思わされます(^^ゞ)は、
「起業というのは“自分がやりたいこと”をやること」と話していました。
みのんちゃんのお母さんの彩乃さんも、「学校ではインプットの教育が主。
家ではアウトプットをする機会を増やしていこうと思っていました。
学校で学べることと、タイムリープで学べること、両方の良さがあります」と。

実は仁禮さん自身も、中学2年で起業しています。
学校に仕事の体験ができるプログラムを提供する会社です。
なぜ子どもたちに起業家教育をするのか?
仁禮さんは、「起業家を育成することが一番の目的ではなくて、
自分の人生を切り開く力を育むのが目的です。
実践の中で何かをやってみて、気づきを得るための手段として、
起業家的な経験をすることはすごくいいと思います」と語っていました。

番組でMCの池上彰さんは、「日本はまず公教育があって、
その枠の中にはめようとして、人によっては飛び出してしまう。
昔は飛び出そうとすると大変な袋叩きにあったが、
それが認められるようになってきているのが大きい」とコメントしていました。

こもれび

【やわらか頭にかたい意志】

3/23付本欄『地方在住の高専卒IT企業創業者が提唱する「ソフトウエアの地産地消」』
で取り上げた渋谷修太さんもそうですが、
テレビや書籍で目にする起業家の方々はみな、
既存の枠にはまらず、自ら新しい枠をつくって活動しているイメージがあります。

固定観念にとらわれないやわらかい頭を持ちつつ、
自分がやりたいこと、価値があると思うことを実現させようとする
かたい意志もあわせ持っている人たちです。

実際に起業するかどうかは別にして、
いわゆるアントレプレナーシップ(起業家・事業家精神)は、
決まったレールがどんどん解体されていくような今の時代に、
ますます必要となる素養と言えそうです。

それを若いうちから、というか若いうちだからこそ教えるプログラムは、
今後もどんどんニーズが高まっていくのではないでしょうか。

ちなみに、若者が夢や理想を語る時に、
いわゆる“大人”から出てきがちなのが、
「やることをやってからにしろ」という類の批判。
確かに一理あると思いますが、でもその「やること」が、
「やってる感」を出すだけのどうでもいいことだったとしたら?
昔から誰でもやってきたことだけど、
もう目的がよくわからなくなっているとしたら?
結構、そんなことはあるんじゃないかと思います。

「世の中こんなもの」と訳知り顔に受け入れない、
嫌なこと、不便なこと、腑に落ちないことがあっても、
逃げたりサボったりするんじゃなく、変えていこうとする、
そういったメンタリティを持った若い世代に、期待せずにはいられません。

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