【2025年から「情報」導入】
大学入試センターが公表した2025年1月実施の
大学入学共通テストの教科・科目再編案によれば、
プログラミングや、データサイエンスに必要な統計処理、
情報リテラシーの知識などを試す「情報」を導入し、
国語や数学などと並ぶ基礎教科とする、とあります。(3.24日経電子版)
今後ますます必要とされるIT人材の裾野拡大が狙いです。
実際の試験では、パソコンを使って出題・解答する
「CBT(Computer Based Testing)方式」ではなく、
他教科と同じようにマークシート式となる見通しとのこと。
その理由を大学入試センターは、「全国的に均質で質の高い受験環境の確保や
社会全体の理解などについて細やかな検討が必要」との観点から、
機材確保の困難さなどから25年のCBT方式導入は見送るべき、としています。
デジタル化の遅れが随所で指摘されている日本で、
人材の育成は急がなくてはいけない課題なので、
「情報」の入試導入を歓迎する声がある一方で、
心配する声もあります。
記事では、サイエンスライターの竹内薫さんや、
東京大学大学院情報理工学系研究科准教授の山崎俊彦さんが、
試験科目になることで逆に嫌いになる人が増えるのではないか、
という旨のコメントを寄せています。
竹内さんは、マークシート式になる見通しであることに対し、
――いや、これ、普通にプログラミングをやってもらう試験にしないと、
またまた暗記学習の延長になる恐れが大です。
年表憶えたり、公式憶えたり、英語の構文憶えたりしても、
歴史の深い洞察力につながらず、数学も楽しくないし使えず、
英語のコミュニケーションができない…
散々、くりかえしてきた失敗ではないですか。――と指摘。
うなずく方も多いのでないでしょうか。
英語もそうですけど、「情報」の重要性を真っ向から否定する人は
ほとんどいないと思われます。
問題は、その教え方であり、学び方であり、評価の仕方でしょう。
関西学院大学社会学部准教授の寺沢拓敬さんが昨年著した
『小学校英語のジレンマ』では、
小学校での英語の教科化、早期化に関する
長年にわたる議論を丹念に追いながら、現状に対して、
「影響が広範囲に及ぶわりに即効性が乏しい施策を選択するのはかなりの悪手」と
警鐘を鳴らしています。
さらに、小学校英語への世論や保護者の多大な支持は、
――良く言えば大きな期待の表れだが、悪く言えば過剰な楽観である。
単に早く始めただけでは英語教育改革の切り札にはならないことや
条件整備の面で多くの課題があることは
関係者・研究者の間では周知の事項だからである。――と指摘しています。
同様のことが、「情報」にも起こらないよう、
どれだけ予算を割けるかなど難しい問題もありますが、
熟議を重ねていい方向に向かってほしいと切に願います。