【見逃しがちな「あかるいニュース」】
東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏4都県を対象に
緊急事態宣言が再発令されました。
対応が遅すぎるとか、やり方が中途半端だとか、
基準がわからないとか、説得力がないとか、
いよいよ経済が大変とか、いろんな声が上がっています。
私には、引き続き自分自身の感染予防に努めつつ、
感染拡大が収まるのを祈るぐらいしかできませんが、
新型コロナ関連で伝えられる数々のニュースを見て一つ感じるのは、
みんなで新型コロナに立ち向かうという様子はまるでなく、
誰かが誰かに文句を言っている、すさんだ空気です。
一言で言えば、「嫌な世の中」ですね。
でも、これは仕方がないことであって、
感染症が人心を荒廃させるのは歴史が教えるところ……
なんてわかった風にまとめるつもりはありません。
本当に「嫌な世の中」になっているのか、
そればかりでは全然ないのでは? というのが今回の趣旨です。
昨年11月に刊行された池上彰監修『日本のあかるいニュース』には、
新型コロナに翻弄され続けた2020年に日本で起きた、
「100の心温まるニュース」が紹介されています。
多くのメディアは、人々の関心をひくために、
感情(喜怒哀楽)に訴えかけやすい話題を取り上げがちです。
しかもだいたい、喜や楽より怒や哀のほうがより強い“引力”があります。
問題点を批判的に扱うのはメディアの大事な役割とはいえ、
情報を受け取る側がそうしたメディアの特性に注意していないと、
全体が怒や哀ばかりに見えてしまいます。
さらに、それを増強する情報に触れ続けることで印象が強化される悪循環にも。
かくいう私も、同書に取り上げられているニュースのほとんどを知りませんでした。
1つ例を挙げます。
8/1付西日本新聞で、一律10万円の「特別定額給付金」を使ったと見られる
子ども食堂支援の動きが北九州市で広がっていることが報じられました。
市役所や市内の食堂でつくる「子ども食堂ネットワーク北九州」に3月以降、
18件計180万円の寄付があり、別に10万円分の米も届きました。
さらに、イベントが中止になった企業などからも子ども食堂向けに米の寄付が相次ぎ、
2020年4~6月だけで2019年1年間の2倍超、約3.5トンが集まりました。
私は、北九州市の近くに住んでいながら、このニュースは全く知りませんでした。
「特別定額給付金」と言えば、支給が遅すぎるとか、額が少ないとか、
行政のシステムに問題があるとか、とにかく不満や怨嗟ばかりだった印象です。
私がそうしたニュースばかりに接していたということですね。
さて、年明け早々に緊急事態宣言が出された2021年、
そんな中どんな「あかるいニュース」があるか、
なるべく見逃さないようにしたいなと思っています。