【第二、第三の“感染”のほうが怖い!?】
「ウイルスの次にやってくるもの」という動画をご存知ですか?
日本赤十字社が公開している動画です。
ウイルスの次にやってきて、
もしかしたらウイルスよりも恐ろしいもの、
それは、「恐怖」
――というものです。
恐怖が疑心暗鬼を生み、攻撃的になり、社会を分断させていきます。
それはまるで第二、第三の“感染”。
日本赤十字社がリリースしている『赤十字NEWS 2020年4月号』には、
ウイルス発生……生物学的「感染症」
↓
不安や恐れ……心理的「感染症」
↓
偏見・差別の表出……社会的「感染症」
と示されています。
また、言動の具体例として、
〇地域や民族特性を病気のレッテルにする
〇感染の可能性のある人に敵意を向ける
〇犯罪者扱いしたり侮蔑するような言葉を使う
〇定かではない情報、うわさを広める
が挙げられています。
【難しいのは……】
動画では、恐怖に飲み込まれないために
できることも提示されています。
〇恐怖は、話を大げさにして、おびえさせる。
誰にもまだ分からないことは、
誰にもまだ分からないことでしかない。
そのままを受け止めよう。
〇非難や差別の根っこに、自分の過剰な
防衛本能があることに気づこう。
冷静に、客観的に、恐怖を知り、見つめれば、
恐怖はうすれていくはずだ。
――などなど。
動画を締めるメッセージは、
「恐怖に振り回されずに、
正しく知り、正しく恐れて、
今日、わたしたちにできることを、
それぞれの場所で。」
大いに同意します。
でも、一方で、戦前の物理学者で、
随筆家、俳人でもあった寺田寅彦先生の有名な言葉、
「ものをこわがらな過ぎたり、
こわがり過ぎたりするのはやさしいが、
正当にこわがることはなかなかむつかしい
ことだと思われた」(*)にも共感する私です。
人間はいつまでたっても、
このバランスに苦労する生き物なんでしょうか。
(*)火山が噴火した際の人の行動に対して発せられた言葉です
(寺田寅彦『小爆発二件』)