【若林さん、「ヌーハラ」を斬る】
先日、お笑い芸人オードリーの若林正恭さんの結婚発表がありましたね。
若林さんは、知る人ぞ知る“読書芸人”のひとりで、
毎回いろんな作家とトークする『ご本、出しときますね』という
BSジャパンの番組のMCも担当していました。
私が好きな芸人さんのひとりでもあります。
その若林さんの著書に『ナナメの夕暮れ』というのがあって、
「ヌードルハラスメント」(「ヌーハラ」)について書いてあるくだりがあります。
今ではほとんど聞かなくなった「ヌーハラ」ですが、念のため補足すると、
ラーメン屋やソバ屋などで日本人が「ズズズ……」すすることに、
外国人観光客が精神的苦痛を感じる、ってものですね。
若林さんが「ヌーハラ」をツイッターで検索してみたら、
「日本でこういう報道がされているらしい」というツイートは引っかかるものの、
一般の外国の方が「音が苦痛」とつぶやいているものは見つからなかったそうです。
そもそも「ヌードルハラスメント」という言葉は和製英語。
言いはじめたのは日本人自身ということで、
「この言葉を作ったのは誰で、狙いは何だったのだろうか?」
というのが若林さんの疑問。
一時はテレビ番組でも話題になり、外国人が「ヌーハラ」を訴えていることを前提に、
「すする音が嫌なら日本に来るな」というコメントが共感を呼んでいました。
共感を呼ぶであろうことを、あらかじめわかっている人が、
「ここは日本だ!」とコメンテーターが目くじらを立てて
コメントするまでをデザインしているかのような印象を受けた、と若林さん。
若林さんは、誰かが教室にゴムのヘビのおもちゃを投げ込んで、
教室内がパニックになるイメージが浮かんだそうです。
――おもちゃのヘビに向かって「噛まれたら危ないだろ!」
「教室からつまみ出せ!」と言っているのではないだろうか?
本物のヘビのことはいくらでも議論すべきだと思うが、
実態のないものに怒らされているとしたらそれは不気味だ。
~ヌードルハラスメントは忘れ去られているだろうが、
ゴムのヘビを投げ込む人がいるということは覚えておきたい。――
うーん、さすが若林さん(^^)
勝手な思い込みには気をつけたいものです。
特に外国人への思い込みは、“よくありそうな形”に流されがちなので……。
【「ぶぶ漬けでもどうどす?」】
私も最近、思い込みを正されることがありました。
みなさんは、京都で「ぶぶ漬け」(お茶漬け)を勧められたら、
文字通り受け取ってはダメで、「早く帰ってほしい」という意味、
と耳にされたことはありませんか?
私も、それは京都ならではの“常識”と思ってました。
ところが、こないだ泊まった京都駅近くのホテルで、
夜食で無料サービスしていたのが、なんと「ぶぶ漬け」。
おもてなしの拠点ともなるべきホテルで、ずいぶん大胆だなあと思ったものです。
とてもおいしかったですけどね。
その場でスタッフさんに尋ねようとも思ったんですが、
クレームをつけてるように思われてもナンだし、
わざわざ「ぶぶ漬け」を出すからには何らかの理由があるはずで、
それを知らないことをさらけ出すのもナンなので、
あえて自粛し(^^ゞ、後で調べてみました。
京都に関する本をいくつも出している柏井壽さんの
『京都に行く前に知っておくと得する50の知識』によれば、
実は「ぶぶ漬け」は「早く帰れ」の意味じゃないとのこと。
京都人は、早く切り上げたい際は「用事」があることをうまく使うそうです。
「うっかりしてたわ。主人に頼まれてたことを忘れてた。
ちょっとそこまで行かんならんけど、一緒に行ってくれへん?」
「あ、うちもや。うちも頼まれごとがあったんを忘れてた。
ほな、おいとましますわ。えらい長話してしもうて、悪いことやったなぁ」
という具合。
「ぶぶ漬け」を勧めるからには、おいしい漬物がありますということだろうから、
ありがたくごちそうになればいいそうです。
思い込みで恥をかいたり、損をしたりしないためにも、
頭は(できれば体も)常にやわらかくありたいと、
思いを新たにした私でした。
本気で英語を身につけたい。
そのためには留学が有効なんだろうな、とも思う。
でも、環境が変わり過ぎてハードルが高い……
なんてふうにためらっている方がいらっしゃったら、
それも“思い込み”かもしれませんよ。