【2017年のレジャー1位は国内旅行】
『レジャー白書2018』(公益財団法人日本生産性本部)によれば、
2017年、最も多くの人が楽しんだレジャーは「国内観光旅行」で、
2011年以来7年連続の首位をキープしました。
ちなみにレジャー人口のトップ10は以下の通りです。
1 国内観光旅行――5,240万人
2 外食(日常的なものは除く)――3,980万人
3 読書(仕事、勉強などを除く)――3,870万人
4 ドライブ――3,810万人
5 映画(テレビは除く)――3,420万人
6 複合ショッピングセンター、アウトレットモール――3,310万人
7 音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)――3,190万人
8 動物園、植物園、水族館、博物館――3,090万人
9 ウォーキング――2,970万人
10 カラオケ――2,920万人
「海外旅行は?」という声が聞こえてきそうですが、
まだトップ10に入るほどの規模ではありません。
日本政府観光局(JNTO)によれば、2017年の出国日本人数は1,789万人。
旅行も仕事も全部合わせた数字です。
ただ『レジャー白書2018』によれば、海外旅行は大きく伸びたとのこと。
旅行人気は相変わらず、というところでしょうか。
【旅は本来つらいもの】
老若男女問わず人気の旅行=トラベルですが、
「travel」は本来、つらいものを意味しました。
この語の語源はラテン語のtrepalium(拷問の責め道具)で、
tre(=three)+palium(=stake=杭、棒)、
つまり3本の杭を使った拷問具のことでした。
このためtravelという語は、初めは「苦しめる」という意味で、
それから「歩いて自分の体を苦しめる」ということになり、
「旅行する」という意味が生まれました。
今日でこそ旅はレジャー人口1位になるほど魅力的なものですが、
かつては、移動ひとつとっても、いまとは比べられないほど大変だったでしょう。
旅は苦労の象徴だったんですね。
日本にも「かわいい子には旅をさせよ」ということわざがあります。
わが子がかわいいなら、親元で甘やかさずに、
世間のつらさ・厳しさを体験させたほうがいいという、愛情の裏返しです。
今年は改元にともない、GWに10連休とれる方もいらっしゃることと思います。
そうでなくても、旅行の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。
もし道中、悪天候に見舞われるとか、
飛行機や列車が遅れる、
ホテル・旅館が思いのほかよくない、
サイフを落としてしまう、
置き引きに遭ってしまう、
思わずケガをしたり病気になったりしてしまう、
人出が多すぎて見たかったものがゆっくり見られない、
食べたかったものが食べられない、
買いたかったものが買えない、
やりたかったことができない、
思っていたほど楽しくない…………
たとえ望んでいた通りにはならなかったとしても、
それは本来の意味にかなった、自分を鍛える“苦労”と考えれば、
それもまた記憶に残るいい旅になるのではないでしょうか?
全くの余談ながら、私は『水曜どうでしょう』(知る人ぞ知る
北海道の伝説的なローカル番組)のような、“苦労だらけ”の旅に憧れます。
※参考文献:奥津文夫『英米のことわざに学ぶ 人生の知恵とユーモア』(三修社)