【時間をかける】
以前も本欄で取り上げましたが、
(2020.9.7「長年学校で英語を勉強したのに……は理不尽!?」)
日本の外務省にあたるアメリカ国務省にある語学研修機関「FSI(Foreign Service Institute)」では、英語母語話者の受講生が日本語を習得するためには、88週間(2200コマの授業)が必要とされています。それに加え、半年程度の留学も推奨されています。
単純計算で週に25コマ。
それを88週間(1年半以上)集中して学ばないと日本語は身につかないというわけです。
フランス語やスペイン語、イタリア語習得に必要な時間が24 週間(600コマの授業)とされているのと比べると、いかに英語と日本語が離れた言語なのかがわかります。
英語母語話者が日本語習得にそれだけの時間がいるのなら、逆に日本語母語話者が英語習得に必要な時間も同様でしょう。本気で英語を身につけたいなら、学校で英語の授業を週に数コマ受けているだけでは追いつきません。日頃から継続的に学ぶのが不可欠です。
それを自力でやれるならいいのですが、なかなか大変。特に、読む・書くはともかく、聞く・話すは、環境が整わないと難しいですよね。
この点に、オンライン英会話をお勧めする大きな理由があります。
学校の授業を補完する意味でも、オンラインレッスンは有力なのです。
【体験を積む】
外国語を学ぶ際に大切な心がけは、ミスを恐れないこと。違う言語なんですから、ミスするのは当たり前です。
異文化コミュニケーション学者の鳥飼玖美子さんは、今年9月に出版された『なんで英語、勉強すんの?』の中で、次のようなエピソードを紹介しています。
鳥飼さんも関わっていたEテレ「世界にいいね!つぶやき英語」の2021年正月特番のインタビューで、K-POPのStray Kidsリーダー、バンチャンが自身の語学習得法を語りました。
オーストラリア育ちのバンチャンは、韓国で仕事をするようになって、韓国語を勉強することになります。「実際にいろいろな人たちと話してみるよう心がけて上達した。もちろん間違えるけど、その間違いから学んで、頑張った。映画や漫画やドラマも観て、ゲームをして他のプレーヤーと話したりして、勉強した。使えば使うほど、使えるようになってきた」
鳥飼さんは、「間違えてもめげず、間違いから学んで、どんどん使った、というのは、外国語と付き合う上で最高の姿勢です」と讃えています。
くどいようですが、日本語と英語は全くと言っていいほど違う言語です。
特に、聞く・話すシーンでそれを痛感しますよね。
なかなか英語が通じないのは、日本語と英語で、発音や強弱、リズムがまるで異なるからです。
前出の鳥飼さんの著書によれば――
英語は、母音が20種類ほどもあり(日本語は「アイウエオ」の5種類)、子音にしても、2つも3つもつながることがあります。日本語では子音の後に母音が入るので、ついつい子音の後に、本来は存在しない母音を補って発音してしまいがちです。
例えば英語のstrikeは、子音の「s」「t」「r」が3つつながった、母音が1つの1音節ですが、日本語で発音するとそれぞれの子音の後に母音が加わり、「su、to、rai、ku」と4音節になります。そうなると英語のリズムが壊れてしまい、通じません。
このリズムというのが英語ではとても大切で、強める部分をしっかり強め、弱くすべきところは弱くすると、リズムが英語らしくなります。強めるのは話す内容に関わる「内容語」で、
冠詞や接続詞など「機能語」とされる単語は原則として弱めます。
さらに、聞く・話すシーンでは、緊張感が増すという問題もあります。
読む・書く場面ではある程度時間をかけられるのに対し、聞く・話すでは、一発勝負の度合いが強いからです。
鳥飼さんも言うように、外国語だからミスは当たり前とはいえ、間違えたらどうしようと失敗を恐れる不安も相当なもの。
これらの、聞く・話すにまつわるハードルを越えていくには、聞く・話す体験を積み重ねていくのが一番です。というか、スポーツと同様に、練習をくり返して、耳や口(舌)を慣らしていくしかないと言っていいでしょう。
英語習得に欠かせない2つの条件、十分時間をかけることと、体験を積み重ねること。
このための効果的な学習法として、オンライン英会話をお勧めします。