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結果が出なくても諦めない――「サイレント・ピリオド」を知っておこう

【努力は報われるのか】

パンデミックの最中という異例のオリンピックが閉幕して10日余り。
東京をはじめ、コロナのさらなる感染拡大もあって、
開催の是非に関しては依然厳しい声もありますが、
選手たちの活躍自体は、おおむね称賛されていると思います。
私もそのうちの一人です。

8/9に放送されたNHKスペシャル『TOKYO2020 私たちの闘い』では、
コロナ禍でのオリンピックに対する、アスリートたちの葛藤が語られていました。
それぞれの立場での苦悩がある一方で、共通していたのは、
いろいろな人たちへの感謝と、そして、
いかなる状況であっても全力を尽くそうとする姿勢です。
だからこそ、心を打つものがあるんでしょうね。

「努力は報われる」という言葉があります。
ただし、それには大事な条件があります。
諦めなければ、ということです。

競泳の大橋悠依選手は、いわゆる遅咲きで、
結果が出ないときも、投げ出さずに努力を続けてきました。
オリンピック直前になっても調子が出ず、弱気にもなり、
恩師でもある平井伯昌コーチからは、
出場辞退の選択肢もある、と言われるほどだったんですが、
本番では見事に、個人メドレーで二冠達成です。

番組で大橋選手が語っています。
努力を諦めないための、力強いヒントだと思います。

――金メダルをとってすごい、って言われたいとか
自分の強さを証明したいとかいう気持ちは一切なくて、
ただただ、自分が選んだ道でしてきた苦労とか努力もそうですし、
自分がやってきたことを、救ってあげたい。

全部意味があったって思えるようにするには、
ここで自分がすべてを出すしかない。――

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【落とし穴がジャンプ台?】

努力を続けることの大切さは、外国語学習でも同じです。
ただ、外国語を学ぶにあたっては、
「サイレント・ピリオド」と言われる時期があります。
脳科学者の茂木健一郎さんの説明を引用します。(*1)

――外国語を学び始めるときに言葉をインプットするために必要な
「沈黙の時間」と言われるものですね。
その間は表面上、何の進歩もないように見えるけれど、
それでもその外国語の環境に身を置いておくと、
やがてある時期が来ると、突然顕著な進歩を見せるようになる。~

実はその間に脳の神経回路網の変化が蓄積されていて、
それがある閾値を超えたときに一気に開花するんです。~

外国語学習ではこの時期がすごく大事で、
上達しないからとそこであきらめないことですよね。
そのときにサイレント・ピリオドというものがあるんだという知識があると、
「大丈夫なんだ」と思えるでしょう。
そこがすごく大事だと思いますね。――

いくら頑張っても進歩の実感が得られないことがあるのは、
外国語学習に限りません。

心が折れそうなときにどうするか。
簡単に諦めずに、さらに上に向かうステップなんだと頑張れるか。
サイレント・ピリオドは、落とし穴ではなくジャンプ台と思えるか。

言葉にするのは簡単ですが、実践するのはとても難しいことです。
それだけに、努力の継続が差を生む源泉なのは間違いありません。

最後に、知る人ぞ知る努力の“奥義”を2つ。
どちらも、肝に銘じておきたい金言です。

「努力すれば報われるんじゃない。報われるまで努力するんだ」
――リオネル・メッシ(サッカー界のスーパースター)

「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、
それはまだ努力と呼べない」――王貞治(世界のホームラン王)

 

(*1) 茂木健一郎+竹内薫『10年後の世界を生き抜く教育――日本語・英語・プログラミングをどう学ぶか』

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