台風で被害に遭われた方に、心よりお見舞い申し上げます。
コロナ禍に加え気象災害、もう勘弁してください、という気持ちです。
【学校で英語を学ぶ時間は実質2カ月程度】
前回取り上げた英語入試改革。
柱のはずだった民間試験導入が障壁になって頓挫しました。
そもそも民間試験導入自体が無理筋と、
多くの専門家がこれまでに指摘してきました。
それでも進められてきたのは、やはり、
「長年学校で英語を勉強しているのに、ろくに話せもしない」という
積年の“うらみ”があるのだと思います。
英語の必要性は高まる一方で、
いつまでたっても英語力が代わり映えしないことへの
苛立ちのようなものがあって、そのため、
とにかく改革しなければという“猛進”になったのかもしれません。
ところが、私も当然の前提と思っていた「長年学校で勉強」が、
違うというのです。
前回取り上げた『10代と語る英語教育
民間試験導入延期までの道のり』の著者である鳥飼玖美子さんは、
『話すための英語力』という著書の中で、
「中高大と10年も英語をやったのに、英語を話せない!」と
憤慨するのは理不尽と言います。
中高大と10年間にわたり毎週4時間の授業を受けたとして、
合計は多く見積もってもたかだか2カ月程度。
5歳児が母語習得にかけた3万時間(約3年半)に
とうてい及ばない、というわけです。
さらに、英語母語話者が日本語習得に
必要とされる時間にも遠く及んでいません。
アメリカの国務省にある語学研修機関
「FSI(Foreign Service Institute)」では、
日本語は『超困難な言語』(英語母語話者には
極めて難しい言語)に分類されていて、
英語母語話者の受講生が日本語を習得するには
88週間(2200授業時間)必要とされています。
これは逆に、日本人が英語を使えるようになるには、
朝から晩まで88週間(約1年半)、集中的に
特訓しなければならないということでもあります。
加えて、半年程度の留学も推奨されているのです。
それなのに日本の学校では、
10年間で2カ月くらいしか英語を学習していない。
鳥飼さんは、「その割には日本人学習者は
英語が良くできるなあ、と感心するほど」だと言います。
なるほど、こうして数字で見れば、
私が当たり前に思っていた「学校で英語を長年勉強」は印象に過ぎず、
実質の勉強時間は全然足りていないんですね。
改めて、限られた時間の学校の授業に求められるものは
何なのか考えさせられます。
唯一の正解が定まるような問題とも思えませんが、
少なくとも当事者の生徒が混乱、困惑するような制度設計や運営を
繰り返してはいけないのは間違いないでしょう。
【最難関言語は日本語のほかに……】
前出の「FSI」で『超困難な言語』に分類されているのは、
日本語のほかに3つあります。
何かご存知ですか?
想像つくかもしれませんが、それは、
中国語(広東語・北京語)、韓国語、アラビア語です。
この分類は更新されることもあるそうですが、
日本語は常に最難関の言語に分類されています。
日本人が英語を難しいと思っているように、
英語母語話者も日本語を難しいと思っているんですね。
日本語ができる外国人は、それだけの努力をしているということ。
私たちも負けてはいられません(^^)