【安心が保証できない】
2020年度からスタートする大学入学共通テストの“目玉”だった、
英語の民間試験の導入が、見送られることになりました。
本日(11月1日)の会見で萩生田光一文部科学大臣は、
「大学入試英語成績提供システムは、現時点において、
経済的な状況や居住地域にかかわらず、等しく安心して
試験を受けられるような配慮など、文部科学大臣として
自信を持って受験生にお勧めできるシステムには
なっていない」と述べています。
英語の民間試験は「読む・聞く・書く・話す」の
4技能を測るために導入されるものでした。
2020年4月~12月に、高校2年生相当の生徒が
6団体の試験から選んだものを受験し(最大2回)、
大学入試英語成績提供システムによって
成績が大学側に提供される仕組みになっていました。
ところが、今になっても会場や日程などがきっちり定まってなく、
全国高等学校長協会は文科省に延期を要請していたという事情もあります。
民間試験を共通テストの一部に組み込むことには、
かねてより異論がありました。
それらに通底するのは、「公平性への懸念」でしょう。
◇受験機会
高所得の家庭の生徒ほど、練習のための受験ができて有利ではないか。
◇各試験のランクづけ
内容が違う各試験の成績を、CEFR(語学の熟達度を測る国際的な基準)に
基づきランクづけして比べることは妥当なのか。
◇会場までの旅費
民間試験の会場は都市部が多く、遠方の生徒には負担を強いることになる。
◇入試+民間試験の“利益相反”
民間試験の実施団体が出す当該試験の参考書に、
“グレーゾーン”の問題が紛れ込む可能性はないのか。
――といったところでしょうか。
加えて、萩生田文科大臣の「自分の身の丈に合わせて、
2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」
という発言が、とどめを刺した感もあります。
ご本人は会見で、直接の影響を否定していましたけど。
大臣を擁護するつもりはありませんが、
「身の丈に合わせて~」ではなく、
「自分が置かれた環境の中でベストを尽くしてほしい」
なら、ずいぶん印象が違ったと思います。
必ずしも恵まれた環境でなくても、
自らの努力で活躍されている方はたくさんいますから。
【英語習得の志をしっかりと】
ともあれ、一番振り回されているのは、
受験の当人である生徒さんであることは間違いありません。
そして親御さんや、学校関係者の方々も、
大変な思いをされていることは、察するに余りあります。
そもそも、今回の“入試改革”は、
日本人が長年英語を学校で勉強していながら、
一向に世界で通用しない(特にスピーキング)
現状を打開するためだったはずです。
その目的を真っ向から否定する向きは少ないでしょう。
問題はその手段。
萩生田文科大臣は、「試験の仕組みを抜本的に見直し、
5年後(令和6年度)の実施に向け改めて検討する」としています。
民間試験の導入は、拙速だったのか、
それとも最初から“無理筋”なのか。
人生を相当程度左右する入試にかかわることだけに、
もっと議論が熟成される必要があると思います。
私個人としては、以前も本欄で申し上げたように
(『大学入学共通テストにTOEICが不参加表明』)
重要なのは「使える英語」≒「話せる英語」を身につけて何をするかであり、
受験が最終目標ではないはず、と思っています。
そして、「使える英語」を習得するには――
数ある英語学習法の中で、語学留学を強くお勧めします。
本人にやる気さえあれば、同じ時間をかけるなら最も英語力アップが期待できる、
いちばんコストパフォーマンスが高い学習法です。
生徒さんにとって英語は、受験対象の教科の1つかもしれませんが、
英語が“普通に”使われている環境を経験すれば、
教科から、自分の世界を広げてくれるツールへと、
見方が変わるかもしれません。
そうなれば結果的に、受験で高得点を取ることにもつながるでしょう。
福岡の留学会社、弊社オーバーシーズ情報センターでは、
語学留学、ホームステイ、海外研修などを通して、
みなさんの英語力向上のお役に立てるよう、
親身になってサポートさせていただきます。
気になることや知りたいことなど、
なんでもどうぞお気軽にお声がけください。