【“通じる”実感は何よりのごほうび】
女性作家の島本理生さんが、英会話スクールに通っていることを綴ったエッセイで、
「ああ、そうだよねえ」と共感した話がありました。(7/19付日経掲載)
島本さんが女性作家さんと飲んでいたときに、意見が一致したのが、
「そもそも日本語でも饒舌(じょうぜつ)ではないので、
英会話のときにも話すことがなくて困る」ということ。
そういう性格の人たちがいくら勉強したところで、
「Hey, what’s up !?」みたいなテンションになれるかといえば、なかなか難しい、と。
みなさんの中にも、うなずく方がいらっしゃるのではないでしょうか?
とはいえ島本さん、毎週マンツーマンで英語を話し続けているうちに多少は打ち解け、
読書や映画が好きな先生とは趣味の話もできるようになってきたそうです。
ある日、日本文学に関心のあるイギリスの先生から、
今読んでいるという川端康成の『雪国』を鞄から取り出され、
興味あるかと尋ねられたとき、思わず口にした本音が、
「読んだことはあるけれど、川端はセンチメンタルすぎる」。
これが先生に大いにうけ、確かにセンチメンタルだと盛り上がりました。
島本さんは言います――
「初めて本当の意味で言葉が通じた気がして嬉しかった」
【趣味や得意をきっかけに】
これって、留学の大事なポイントでもあるんです。
よく言われるのは、留学前に基本的な語彙や文法のおさらいは必須ということ。
これをサボると、日本でもできることを留学先で延々やるという、
せっかくの機会を無駄遣いしてしまうことになります。
その上で、せっかく24時間360度英語環境に身を置くわけですから、
積極的に英語で交流し、生きた英語になじんでいくのが、
使える英語習得の王道と言えます。
ただ、人にもよるでしょうけど、これは口で言うほど簡単ではありません。
最初はうまくしゃべれなくても、気後れせずに、
英語で会話を続けるのを苦にしない勇気も必要です。
そんなとき、共通の趣味や得意分野なんかがあると、
それがきっかけで会話が弾み、学習効果も高まることが期待できます。
「通じている」ことが実感できれば、やる気も増すというものです。
好例の1つが、弊社でお世話させていだたいた髙木将嗣さん。
彼はニュージーランドに留学し、高校の卒業生代表でスピーチするまでになりました。
最初は英語が全然通じず、現地の生徒ともほとんど交流できなかったんですが、
得意のスポーツで活躍するうちに、どんどん打ち解けていったそうです。
(→『紙の上の勉強だけでは通じませんでした』)
興味があることに能弁になるのは、日本人も外国人も同じ。
自分の武器と言ったら大げさかもしれませんが、
何か好きなものを持っていると、
それをきっかけに英語で会話するハードルが、
グンと下がることも十分ありますよ。