【民間の論理と入学試験】
2020年度からスタートする大学入学共通テストで、
英語で利用される民間試験のひとつ英検が、受験を取りやめた場合に、
予約金の返金を1週間受け付けると表明しました(日経2019.9.18)。
対象となる試験は「英検S-CBT」。
「大学入試英語成績提供システム」利用型の英検とされているものです。
2020年4~7月の試験の予約申し込み期間は2019年9月18日~10月7日で、
同年10月8日~15日に返金の申し込みを受け付けます。
返金されるのは、予約金3,000円から手数料を引いた額。
予約金を取るのは、受験者数を把握した上で試験会場を押さえる
費用などを確保するため、とされていました。
これまでは受験を取りやめた場合でも返金はしない方針でしたが、
高校側が異議を唱え、文部科学省も返金を求めていた経緯があります。
「高校の先生らの要望を真摯に受け止め、前向きに検討した」という、
日本英語検定協会のコメントも、記事では紹介されていました。
さて先日、その英検も含め、大学入学共通テストで利用される
英語の民間試験を実施する全6団体と、大学入試センターが、
協定書締結を完了したと報じられました。
内容は共通で、各実施団体からセンターへの成績提供のやり方や期限、
問題が発生したら改善案をセンターに提出することなどが盛り込まれました。
協定書は、当初は今年3月に締結する予定だったようですが、
個別の内容で交渉が難航したり、海外に母体がある実施団体とのやりとりに
時間がかかったりして、遅れていました。
7月には「責任をもって各種対応を進めていくことが困難」として、
参加予定だった「TOEIC」が不参加を表明しています。
東京新聞(2019.9.18)は、協定書締結が遅れた主な要因として、
民間試験実施団体の負担金を挙げています。
各民間試験の成績を参加大学に伝えるシステムにかかる費用に関し、
基盤整備費は大学入試センターが負担する一方で、
運営費は受験者1人が1回受験するたびに200円を
民間試験実施団体側が負担すると協定で定めました。
この負担金に団体側が反発したそうです。
英語の入試で民間試験の利用が打ち出されて以来指摘されていることですけど、
民間の論理と入学試験がフィットしない面はどうしても出てくるでしょう。
過渡期ともなるとなおさらですね。
受験機会の公平性などの懸念から、
高校側からは試験の延期要望が出ているという事情もあります。
現場のご苦労は察して余りありますが、それでも実施される以上は、
日本人の英語力を伸ばすという大目標のため、
そして実際に受験する生徒さんたちのため、
よりよい形になっていくことを望んでやみません。
受験生のみなさんのご健闘を心よりお祈りします!