【責任をもった対応が困難】
2020年度(2021年1月)から始まる大学入学共通テストで、
採用される予定だった英語の民間資格検定試験の1つTOEICが、
外れることになりました。
ご案内のように、英語の試験では「聞く」「読む」「話す」「書く」の
4技能を評価するために、民間試験を活用することになっています。
大学入試センター内に「大学入試英語成績提供システム」をつくり、
民間試験の成績を集約して、要請があった大学などに提供する仕組みです。
その参加要件を満たしていると大学入試センターに認められた資格・検定試験は、
ケンブリッジ英語検定
TOEFL iBT
IELTS
TOEIC L&R(Listening & Reading Test)およびTOEIC S&W(Speaking & Writing Tests)
GTEC
TEAP
TEAP CBT
英検
ここから、TOEICが同システムへの参加申し込みを取り下げると表明したのです。
TOEICを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)のWebサイトに、
7/2付で公開された声明を引用します。
――TOEIC Testsは4技能を測定できる試験ではございますが、
TOEIC L&RとTOEIC S&Wが別々に実施される形態となっております。
本システムへの社会的な要請が明らかになるにつれ、それらに対応するためには、
受験申込から、実施運営、結果提供に至る処理が当初想定していたものより
かなり複雑なものになることが判明してまいりました。
このため、現時点において、協定書締結に向けた大学入試センターとの協議が完了しておらず、
当協会として本システム運用開始において
責任をもって各種対応を進めていくことが困難であると判断いたしました。――
【過渡期ならではの苦しみ?】
TOEIC不参加表明と聞いて思い出したニュースがあります。
大学入学共通テストで導入される英語の民間試験のうち、
3つで実施主体が参考書を出版するとわかり、
「利益相反」と疑問視する声が上がった、というニュースです。
参考書が発行される試験はGTEC、TOEFLiBT、TOEICで、
3試験はこれまでも実施団体が参考書を出していますが、
入試で使用されることになっても発行は続けるとのこと。
「本番の試験内容に近くなければ参考書として意味がない。
『的中』の問題が参考書に掲載されることはないだろうが、
グレーゾーンの問題が紛れ込む可能性は否定できず『利益相反』だ」
という東京大大学院の阿部公彦教授(英米文学)の指摘もありました。
もちろんこの件が、今回のTOEIC不参加に関係があるのかどうかはわかりません。
ただ、一定の水準がクリアできていれば合格になる資格検定試験と、
入試のような合否を決める選抜試験を合わせて実施する以上、
このような微妙な問題が出てくるのは当然だろうなと思いました。
学校で英語を学ぶ以上、ある程度は話せるようにならないと意味がないという声がある一方、
話せることの重要性は否定しないものの、英語教育では異文化理解
(例えば「異質性や多様性への寛容な態度」)が最も大事といった声もあり、
試行錯誤を繰り返しながら“答え”を模索していくことになるのでしょう。
先生や親御さんたちはもちろん、何より当事者である生徒たちの大変さは察して余りあります。
でも、本サイトをご覧になっている方なら、英語への関心は大いに高いはず。
今回、TOEICが大学入学共通テストから外れるからといって、
その有用性がいささかも薄れるものではありません。
以前本欄でも申し上げましたが(「受験の民間検定でお悩みなら――国立大学対応事情」)、
重要なのは、英語を身につけて何をするかであり、受験が最終目標ではないはずです。
視点は高く、広く持たれますよう――
心よりご健闘をお祈りします!
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させていただいてきた福岡の留学会社、弊社オーバーシーズ情報センター。
みなさんの英語力“急騰”のお役に立てるよう、21年目も頑張ってまいります。
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